金曜日、某番組の打ち上げ。
編集担当であるあたしと、MA担当であるカレ、そうしてカメラマンさんたちと共にタクシーですすきのへ〜。
「一次会で抜けて、一緒におうちに行こう」
それが、二人の内緒の約束事。
名刺交換にも、もうだいぶ慣れたつもりだったけれど、やっぱり大御所アナウンサーさんには緊張。ドモって噛んで、お酒一気。
一次会は10時過ぎには終わって。
あたしは「明日も仕事がありますから」と言って、そうそうにその場を非難。
「さあて、カレはどこにいるのかな」
そう思って電話をした。
…でない。
もういっかいした。
…でない。
メールを入れてみる。
…返信はない。
頭によぎるのは、飲み会の席でカレの隣にすわった綺麗な女子アナのお姉さん。
ヒソヒソ内緒話とかしちゃってた、まんざらでもないカレの笑顔。
そうして連絡も一向にくれず。
だんだん悔しくなってきて、一人で帰ろうとするあたし、タクシーに乗る。
走り出してすぐ、カレに似た人影が交差点の先に居て、あたしはすぐにタクシーを降りて(初乗りだったけど、千円札そのまんまあげてまで急いだ)そこへ走ったけど。
そこにカレはいなくて。
連絡くらいよこせよっ!って思って、自分が惨めで、でも
「きっとカレもあたしがどこにいるか気にかけてるはず。立場上、抜けにくいんだ」
なんて思うようにして。
近くのモスで時間つぶすこと一時間。
カレからの電話。
…無視するあたし。
もういっかい電話。
無言ででるあたし。
「もし?」
「……なに」
「今どこ」
「……しらん」
「…なに怒ってんの?」
「は、自分で考えろ」
って感じで、意地っ張りなあたしは、一時間も待ってるしタバコはめちゃくちゃ吸ってるしでご機嫌斜め。
そうして携帯の充電も一個という状況。
「どこにいるんだよ」
「…モス。」
「モス?どこの?」
「知らん、探せば」
「教えてよ」
「知らんから。つーか充電ないんですけど。」
「…マジか。わかった、探すわ」
そういって二回目の電話を切った。
しばらくしてもう一度カレから電話が。
「モス、ないんだけど」
「は、あるから。」
「本当にモス?」
「そうだけど」
「どこ?」
「●●(しょうがないから大体の住所を教える)」
「わかった、いくわ」
待つあたし。
でも一向にカレは来ません。
三回目の電話。
「モス、ないよー」
「あるから。」
「今、●●にいるんだけど」
「それで?」
「…ねぇ、なんでそんな怒ってんの。場所教えてよ」
その言葉にあたし、怒る。
「はぁ?自分で考えろや。モスだっていってんだろーが」
「……だってないもん」
「あるっつーの!!」
無言。
「……」
「……」
そうしてカレが言い放った。
「……あっそ、んじゃーいいわ」
そのまま電話を切られる。
しばらく、呆然してた、あたし。
なんだかんだいって、カレはやさしくて。
普段から、仕事の愚痴とかを言ってしまうあたしの話を、疲れてても聞いてくれる人で。
口は悪いけど、言葉はちゃんと的を得ていて。
ほおっておかれることなんて、今までなかったから。
「じゃあ、いいわ」
愕然とした。
こんなに、「カレに突き放されること」が辛いって、初めて知った。
急いで電話する。
「…ねぇ、どこにいるの?」
「おれ今、■■の近く」
「…ぜんぜん違うじゃん。……じゃあ今からそこいくよ」
急いで向かった。
一人で待ってるカレ。
でも素直になれないあたしはカレに言う。
「へー、ここがモスですかー、君の認識する「モス」は▲▲(某コンビニ)なんですかーぁ。」
なんて。
「……しょうがないじゃん、方向音痴なんだもん。」
苦笑いするカレ。
手をつなごうとするカレの腕を、引き離すあたし。
無理にでも、手をつなぐカレ。
ひっぱられるようにして金曜の繁華街をあるく。
そのままタクシーに乗って。
あたしの家へ。
なんかこの頃にはだんだん怒ってるっていうわけじゃなくて、なんでせっかく一緒に居れるのに、こんな風に険悪になっちゃんだんだろうって、悲しくなってて。
その原因をつくったのは自分だっていうのは判ってるのに、素直になれなくて。
無言のまま、家にはいる。
それから、二人でちょっとお話をした。
「こんな、不機嫌なあたしといたって、楽しくないでしょ…」
「俺といっしょにいても、辛いだけ?」
「それでも、一緒に居たいんだよ」
「放っておけないんだよ」
この時点で深夜三時。
土曜日も仕事だから、二人して抱き合って眠って。
一緒におきて、一緒にコーヒーを飲んで、一緒に会社まで行った。
なんだかんだいって、
要は「現状維持」。
それでも、別れ話まで発展しそうになっていたことを考えると、
やっぱりあたしはカレが大好きで、カレもあたしを好きで居てくれるということだけで
とても幸せな眠りにつくことができたのでした。
明日もがんばろー。